共感できる凡人の気持ち - "コントラバス" / パトリック・ズュースキント著

"コントラバス"は、ときどき無性に読みたくなる不思議な魅力を持った本です。

映画化もされた小説"香水" (映画:パフューム)の著者、パトリック・ズュースキントの作家デビュー作。一人芝居用の台本として書かれたこの作品は、語り口調で読みやすく2時間弱、早い人なら1時間ぐらいで読み終わると思います。

... ほかの楽器が束になろうとかないっこないです。だいいちぼくらがいなかったら、なに一つ始まるはずがないんですよ。だれにでもきいてみてください。オーケストラは指揮者なんていなくても困らないけど、コントラバスぬきじゃ話にならないって、音楽家ならみんな口をそろえていいますから。 ...

"コントラバス" (パトリック・ズュースキント著、翻訳:池田 信雄, 山本 直幸)より

"大黒柱"、"縁の下の力持ち"とコントラバス奏者は、この楽器を演奏することに誇りを持っています。虚しいですよね。地味で目立たなくって注目されることなんてほとんどない。そんなことわかっていながらも、この楽器はすごいんだと言っているんです。

深い深いテーマもありそうですが、文学にうとい自分にはそこまで読み取れません。ちょこっと共感できて、読み終わると妙に満足している、そんな不思議な本です。

Written in 2009-05-02
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