ミュージカル観劇レポート - "春のめざめ"
2009年5月2日、劇団四季によりミュージカル"春のめざめ"が開幕されました。
今までは正直、みんなそうしてるし...、とスタンディングオベーションしていました。今回は初めて自分の意志で立ち上がり感謝の気持ちで拍手させてもらいました。
テーマは"性"?
この作品が注目されることの要因の1つに"性"のテーマがあるけど、実はそれだけじゃない...
などの前評判は聞いていました。しかし、"性"が注目されてもしょうがない。こんな直接的な表現だったなんて...、インパクトは大きかったです。戸惑ってるのは自分だけなのかと周りに座ってる人の表情を伺いそうになりました(笑)。
確かに"性"だけではありません。自分にも経験のある、肉体的変化・精神的変化への戸惑い、それによって起こる不安や怒り。表現が直接的だからなお、"自分だけじゃなかったんだ"と胸を撫で下ろすことができ、忘れかけていたあのころの気持ちが今になって救われました。
あと、まったく納得できない理由で罪を負うことになった主人公メルヒオールの気持ち、Totally Fucked。あれは思春期だけのことじゃなく大人になった今でも、何度も感じる気持ちです(笑)。"マジでファック!"と曲が終わった途端、「おっしゃー!」と、も~のすごいストレス発散になりました。
しきたりが存在しない
演出スタイル
演出のマイケル・メイヤーは、今回は「しきたりが存在しない」と説明する。通常のミュージカルでは、歌が物語を進行する役割を担わなければならない。ところが、同作品ではミュージカル・ナンバーが歌われる間、劇中の時間の流れは止まる。
劇団四季ミュージカル"春のめざめ"プログラムより
歌は登場人物の内面を表現し、ミュージカルが敬遠される原因ともいえる不自然な"歌う台詞"は、この作品には存在しません。劇中、"この先公むかつく!"と思った次の瞬間、照明が切り替わり、内ポケットからハンドマイクが取り出され、ロック・シンガーと化した登場人物が胸の内をさらけ出す、といった表現です。
映画"シカゴ"のヒロイン ロキシー・ハートの幻想として音楽が現れる手法と同様に、ミュージカルになじみのない人でも絶対楽しめる作品だと思います。
[CD]春のめざめ オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤
RENT観劇での反省を生かし、ミュージカル観劇前にストーリーや楽曲など得られる情報は事前に得ておく方が、自分にとっては楽しめると考え、このCDもチケット購入後すぐに聴きました。
ロック・ミュージカルと言われているわりには楽曲に攻撃性はなく、正直音楽的には物足りなさを感じています。しかし、観劇後家に帰って改めて聴くと、劇中の特にTotally Fuckedの興奮が甦ってきました。ミュージカル・ナンバーのCDってやっぱりそういう楽しみ方なんですね。