ノリントン/SWRによるマーラー交響曲第4番ト長調 (2006-12-10)

マーラー交響曲第4番ト長調

マーラーの第4交響曲は、マーラー作品の中でも比較的小編成で演奏時間も短いことから、昔から親しまれてきた作品です。日本でも1929年に初演、翌1930年には録音まで行われています。ただ、最近はそれほど人気がないらしく、あまり生演奏を耳にする機会がありません。

どうやら人々は、単純で明朗に見えるこの曲の正体、 メールヒェンの中に隠された「本当は怖い」ところに気づきはじめたようだ。

作曲家◎人と作品 マーラー(村井 翔 著)

私が読んだ解説書のほとんどは、第4交響曲は各楽章がいずれも伝統的な形式に対するパロディで、作品全体がアイロニー(皮肉)に満ちた古典交響曲である、と書かれています。確かに、第1楽章の混乱としか言いようのない、はっきり言って滅茶苦茶な、展開部が突然消え、ふわっと第1主題が現れるあたりは、大袈裟に再現させたなとすぐにわかるし、その知識のおかげで、私も知性溢れる芸術理解者になった気分で苦笑することができました。

しかし、アイロニカルだといつまでも鼻で笑いながら聴いていては、もったいない、と最近考えるようになりました。たとえ、君たちがこれから聴くものは、すべて本当ではないよ。と言われても、その本当ではない世界に入って行き、(騙されたまま)旅をし続けても十分楽しめる作品だと思います。とても親しみやすく、愛らしいフレーズでいっぱいですから。

ノリントン/SWRによるマーラー交響曲第4番ト長調

ロジャー・ノリントン指揮、シュトゥットガルト放送交響楽団によるライブ録音CDを聴いていると、純粋に、この作品を愛さずにはいられません。

特に第3楽章。最初に現れる主題は、とても美しく胸が締付けられるくらい、いとおしくなりました。弦楽器からビブラートをなくした透明感のある響きは、シュトゥットガルト・サウンドと呼ばれ、ノリントン/SWRの特徴とされています。この主題はその透明感ある響きを強調させていると思います。

また、このCDのブックレットにはロジャー・ノリントン自身によるこの曲の解説があります。これがまた面白い。

解説といっても、楽典的な内容は皆無で、この曲に対するノリントン自身のイメージを、子供を主人公としたひとつの物語を語られているというものです。(それとも何らかの情報による裏付けのある標題なのかな?)

前述の第3楽章は、死の床についている子供の様子、その子に降りかかる出来事が語られています。クライマックスに差し掛かる突発と呼ばれている部分について、ノリントンの表現は、本当にこの物語を前提にしてマーラーが作曲したのでは?とさえ思えてきます。

そして彼の苦しみは再び始まる。 すばらしいパッセージで、彼はハイドン風のメヌエットによる自らの救済を耳にする(12:46)。 熱が上がり、彼は旋律の速度を二倍三倍にして奏で、そして14:46で疲れ切って倒れてしまう。もはや苦しみはなく、...(以下、省略)

ちなみに引用文中の数字はCDのトラックタイムです。

最近はもっぱら、研究者・評論家による解説を読み「ふむ、ふむ、なるほど、なるほど」などと、マーラーの交響曲を聴いていることが多い私は、自分の想像力の無さを痛感させられました。こんな想像力豊かにして聴けば、もっともっと音楽が楽しめるんだろうとも思いました。

参考資料

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オーディオ環境? (2006-08-14)

[私の部屋]

いつも音楽を聞くときに座っている座椅子から撮った写真です。

  • 借り物のSANSUIのアンプ(AU-α607XR)
  • 同じく借り物のDIATONEのスピーカ(DS-100Z)
  • これまた借り物のYAMAHAのウーハー(TST-SW70)
  • 4年前に買った1万ぐらいのSAMSUNGのDVDプレイヤー(型番不明)
  • 貰い物のmarantzのCDプレイヤー(CD4000)
  • 単品だと非常に使いにくいBOSEのMDプレイヤー(MDA-12)
  • アンプ/スピーカがなかったころに買ったaudio-technicaのヘッドフォンアンプ(AT-HA20)
  • 撮影したときに着けてので写っていないが、唯一の高い買い物、 audio-technicaのヘッドフォン(ATH-W5000)
  • もうひとつこれも真っ暗で写っていないが、GRADのヘッドフォン(SR-60)

ちなみに手前に積まれているのは、最近買ってCDラックから溢れているCD達です。 一番上に乗っているCDは

  • MARK WHITFILED and the groove masters
  • マーラー交響曲第5番嬰ハ短調 ボストン交響楽団 小澤征爾
  • マーラー交響曲第1番ニ長調 ロイヤル・コルセルトヘボウ管弦楽団 リッカルド・シャイー
  • Grover Washington, Jr. PrimeCuts (借り物)

これらの解説(っていうか感想)は後ほど...。

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憧れのJazz Guitarist 岡安芳明さん (2005-05-01)

Jazzと聞いてイメージするものは人によって違うと思います。それは静かでお洒落なバーの片隅で演奏するピアノトリオであったり、ステージ上総勢30人近くで演奏するビックバンドであったり、あるいは、4、5人のホーンプレイヤーが激しいビ・バップを演奏する様子だったり。

岡安芳明さんは、私にとってのJazzそのものなんです。

最近、アルバムGENTLE MOODSをネットオークションで手に入れました。これで岡安さんの出されたアルバムすべて揃えることが出来ました。ここ数週間、会社の行き帰りは岡安ワールドにどっぷりです。

HOT HOUSE

一番よく聴いているアルバムです。私にとって岡安芳明さんの代名詞的アルバムです。岡安さんは世界一美しい音色を奏でるギタリストだと、このアルバムを聴く度に思います。

ギター/ベースのデュオが中心で、これは高田馬場にあるJazz Live Spot HOT HOUSEというお店でよく演奏される編成だそうで、録音もこのお店の雰囲気を意識した響きになっているとのことです。

「とのことです。」というのは、私自身一度もこのお店HOT HOUSEへ行ったことがありません。ずっと憧れているのですが、学生の頃はお金がなく、社会人になった今は時間が取れないというのが言い訳(?)です。

なぜ行けないのでしょう...。別に怖いイメージは無いのですが、自分にとってある種の勇気が足りないようです。 CDばかり聴いている私がイメージしている岡安さんのサウンドが実際にはぜんぜん違うのでは?お店には常連さんばかりで、その方たちはきっと親切に振舞ってくれるのだろうけど、逆に私の方が緊張してしまってせっかくの生演奏が上の空になってしまうのでは?など余計なことばかり考えてしまうのでしょうか。

GENTLE MOODS

岡安さんの演奏を耳にした最初のアルバムです。

大学へ入学してからジャズに対して強い憧れを持っていました。しかし、当時持っていた楽器はKillerだったり、弾くフレーズはハーモニックマイナースケールを行ったり来たりする早弾きフレーズ。そんなことから、周りからはロック大好き人間と見られていたようです。「先輩、ジャズギターのお勧めCDないっすか?」と尋ねても、自分のイメージと合うものはなかなか紹介してもらえませんでした。

そして、先輩の持っているCDの中から適当に選んで「これ、借りていいですか?」と借りた中のひとつがこの岡安さんのGENTLE MOODSです。衝撃を受けたというより、安堵感に満ち溢れたという感じです。「これこそ、俺が求めていたジャズだ」と思いました。

今は大好きな「WES MONTGOMERY/Incredible Jazz Guitar」も当時は理解できませんでした。ジャズに憧れてはいても何しろロック少年だったので。WES MONTGOMERYについては、当時無理して好きになろうとしていたようにさえ思います。もちろん今では大好きなギタリストですが。

ちなみに先輩に薦められ初めてジャズを聴こうと買ったアルバムはジャコ・パストリアス/ハイラム・ブロック/デニス・チェンバースのトリオでのライブアルバムでした。もちろん衝撃的な演奏ではありましたが、でも...、ちょっと違う...。

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