強烈!ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』 (2009-03-15)

なんて趣味の悪いミュージカルなんだ!
側近だったにもかかわらずキリストを裏切ったユダがおまえは誰だ?と歌うSUPERSTARを聴く度にいつもそう思います。

ただ、一人の人間、イエス・キリストの壮絶な最期というストーリー、また、特に劇団四季ジャポネスクバージョンの斬新な演出で観る異様な光景と音、その強烈な印象は脳裏に焼き付いて離れません。39回の鞭打ちのシーンでは、目を見開いたまま体が硬直して身動きひとつとることもできませんでした。
YouTubeの動画:"劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』ジャポネスクバージョン"へ

ミュージカルって楽しいなぁ、と思っていろいろ観て廻っていたけど、この作品を観たときはキツかった(笑)。

[DVD] ジーザス・クライスト=スーパースター

おそらくブロードウェイ版の演出をベースにしてのスタジオ収録DVDなのだと思われます。

狂信者シモンと群衆たちが、マシンガンを手に権力と栄光はあなたのもの!とキリストを賞賛するなど、表現方法が直接的でわかり易いと思いました。知識ゼロの状態で劇団四季ジャポネスク・バージョンを観て、強烈な印象だけしか残っていなかったので、これを観てやっとストーリー全体を理解できました。

ただ、ヘロデ王登場シーンはちょっと残念です。この作品の中で唯一、顔がほころんで和めるシーンであってほしいのに、このDVDではヘロデ王を狂気じみた人と描かれてしまっています。劇団四季バージョンの印象が強いからか、もっときゃらんぽらんなおっちゃんであってほしかったです。

十字架に張付けられたキリスト一人を残して終わる劇団四季の演出に対して、このDVDの、十字架から降ろされ弟子たちに囲まれながら終わる演出は、やはりこの後に「復活」という物語があるということでしょうか。

[CD] Jesus Christ Superstar (Original London Concept Recording)

ミュージカル化される前の2枚組みコンセプトアルバム。キリスト役はディープ・パープルのイアン・ギランというのが面白い。っていうか、このCDを聞いたあと久しぶりに、ディープ・パープルのLIVI IN JAPANなどを聴いてみましたが、こっちのイアン・ギランの方がめちゃくちゃかっこいい!まさにロックシンガーの代名詞的な歌いっぷりです。

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何度観ても飽きないミュージカル「CATS」の音楽CD (2008-10-19)

ミュージカル「CATS」。 劇団四季による日本上演は、2008年11月11日でなんと通算25周年です。先日東京/五反田のキャッツシアターへ行ったら25歳の誕生日ケーキが飾られていました。 恥ずかしながら私が「CATS」、というよりミュージカルの楽しさ、素晴らしさを知ったのは、ほんの数ヶ月前です。ミュージカル映画DVDを買い漁っていて、たまたま見つけたCATSのDVDがきっかけです。

でも、"日本ではどうなの?外人のマネじゃない?劇団四季ってファン含めてなんかカルト集団みたい。" っと偏見を持ったまま聴いてみた劇団四季ロングラン・キャストの「CATS」のCD。翌月には五反田キャッツシアターでの初めてのミュージカル観劇、気が付けば「四季の会」会員です(笑)。

劇団四季ミュージカル 「CATS」オリジナル・キャスト

一番よく聴くアルバムです。ライブ版で客席からの拍手も聞こえ臨場感も味わえます。また、ライブ版なのにロングラン・キャストよりも歌詞が聞き取り易いと思います。

特に2部(Disk 2)のガス 劇場猫がお気に入りです。老いぼれ猫ガスを紹介する保坂知寿さん扮するジェリーロラムの声、そしてその歌詞がとても癒されます。

ボーナストラックとして、シングルカット版(?)のメモリーが、Disk 1の1曲目とDisk 2の最後に入っています。それを忘れて、オープニングの劇場のあのワクワクどきどき感を期待してCDをプレイするといきなりメモリー、ということがよくあります。正直このトラックは煩わしい...。何で同じ演奏が2曲も入ってるんでしょうか。

劇団四季ミュージカル「CATS」ロングラン・キャスト

オリジナル・キャスト版とは若干キャストが代わっているスタジオ録音です。バックの演奏/録音にも気合が入っている(?)ためか、オリジナル・キャスト版と比べて音が大きい...。

ロンドン製作のビデオが基準となってしまっている私にとっては、ひ弱なヘヴィメタ的なタガーの印象が強く、この沢木順さんの 欲しいものなどなんにもぬゎあああい!! というのにびっくりしました...。

このCDはオリジナル・ロンドン・キャスト版といっしょにキャッツシアターでも販売されています。

キャッツ ― オリジナル・ロンドン・キャスト

知らない人はいない名曲メモリーですが、このエレイン・ペイジの歌が一番好きです。ハスキーがかった声でしっとりと歌い始め、 TOUCH ME! IT'S SO EASY TO LEAVE ME! のところはまさに悲痛の叫びともいうのか胸が締め付けられる思いです。深く印象付けられます。ちなみに四季バージョンの歌詞 お願い、私に触って は、メロディーと歌詞の関係になんか違和感があってどうしても好きになれません。

また、四季バージョンではカットされているビリー・マッコーのバラードがこのCDには入っています。グロウルタイガーがグリドルボーンへ 昔通ったバーを思い出すよ、そこにはビリー・マッコーというオウムがいて...、 と語りだすシーンなのですが、すごく綺麗な曲なんです。格闘シーンの印象が薄くなってしまうからなのか、それとも単に猫の話でないからなのか、四季でカットされたのが本当にもったいない!

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ミュージカル映画が熱い!(その1) (2008-04-26)

ミュージカル映画って、なんていうか、さっきまで普通にしゃべってた人が突然、満面の笑みで歌いだしたり、妙に違和感のある世界で、取っ付き難いイメージを持っていました。でも、映画 "シカゴ" を観て以来、私にとってミュージカル映画はもっとも興味あるジャンルのひとつとなっています。

シカゴ

挿入歌はすべて主人公ロキシー・ハートの幻想の世界として描かれ、従来のミュージカル映画のような不自然さをなくす、という斬新な手法で、近年のアメリカ映画界において、ミュージカル映画はヒット作に恵まれない状況が続いていたがそのジンクスを覆した作品とも評価されているそうです。

スターを夢見ていた主人公ロキシー・ハートが愛人を銃殺、"キュートな殺人者" として新聞に写真が載り一躍有名人に...。

わたしは "セレブ"

誰もが顔を知っている有名人
誰もが知っているこの目
このヘアー この歯 オッパイに鼻

この前まで しがない自動車修理工の女房だった
ロキシー
人殺しだって 今思えば立派なアート

絞首刑さえ うまく逃げれれば
あの時の "ズドン!" が ツキの始まり
ロキシー・ハート
	

シカゴ挿入歌『ロキシー』より

報道のあり方に対するカリカチュアです。登場人物全員が "悪いやつ" で逆にそれがかっこいい!歌のシーンがロキシーの幻想だから、弁護士が操り人形になった報道記者を踊らせたり、映像的にもやりたい放題。

作品がまるでミュージッククリップ集のようでもあり、それがたまたま繋がってストーリーとなっているかのようにも観得ます。まさに音と映像の総合エンターテイメントです。

ヘアスプレー

最高にハッピーな作品です。"デブでチビなのは個性" といつも笑顔で力強く生きるトレーシーの姿は本当に元気付けられます。音楽も口ずさみ易いポップなR&B中心で、終始ノリノリです。

この作品は、個性の尊重と人種差別の2つのテーマを取り上げています。私が日本人だからなのか、人種差別問題が強調され過ぎているように思え、そこが少し違和感を感じました。

それでも、トレーシーがトイレから即席花嫁姿(素材はトイレットペーパー!?)で出てきたり、ベルマがたくさんのおもちゃにてんやわんやしながら必死で誘惑する様子など、笑いが絶えない作品だと思います。

ドリームガールズ

うーん、私には Soul がないんでしょうか。あまり楽しめなかった映画です。

ストーリーが複雑。複雑っていうレベルではないかも知れませんが、月9ドラマ並みの人間模様がミュージカル映画としてどうかなぁと思いました。観終ったら "あぁ、楽しかった" 程度のシンプルさがほしいです。

ムーラン・ルージュ

二コール・キッドマン、超色っぽい! でも、それだけ...。どうしても違和感ありありの独特な演出が気になって仕方ありません。

ただ、何回か観るとその違和感も徐々に慣れてきます。"私は娼婦なの、そういう生き方を選んだ女なの。だから嫉妬するのはやめて" というくだりは、男としては?かなり同情したりします...。

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古き良き80年代アメリカ映画 - ストリート・オブ・ファイヤー (2008-02-24)

最近、音楽が中心だったり音楽を全面に出している映画が特に好きです。"オペラ座の怪人"や"シカゴ"などのミュージカル映画もそうですが、北野武監督作品"座頭市"なんかも素晴らしいですね。

"古き良きアメリカ映画"という表現はかなり偏見に満ちていますが、私にとって映画"ストリート・オブ・ファイヤー"はまさに"古き良きアメリカ映画"なんです。

ストリート・オブ・ファイヤー

ならず者が愛する人を救うために悪と戦い、結果、街をも救うという定番的なストーリーで最初から最後まで一気に駆け抜ける、楽しむという言葉そのものが体感できる映画です。

バンド名"アタッカーズ"、悪役の組織名"ボンバーズ"とダサダサな名前も気にならないこともないですが、ラストシーンのライブステージですべて帳消し、見終わったら"あぁ、楽しかった"という印象だけが残ります。

ドラマ"ヤヌスの鏡"の主題曲にもなった、このラストシーンの曲は本当に印象的です。これほど人を引き込む曲はないんじゃないでしょうか?映画のために書かれた曲らしく、CDもこの映画のサウンドトラックでしか聴くことができないようです。

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What a Wonderful World - この素晴らしき世界 (2008-02-17)

ケイコ・リーさんのストリングスアルバム"Day Dreaming"
最後のトラックに名曲"What a Wonderful World"が入っています。元々はこのアルバム発売前にリリースされたミニアルバム"What a Wonderful World"の録音です。その録音からストリングスを外したバージョンがボーナストラックとして入っています。ミニアルバムの方は既に廃盤になってしまったのでしょうか?Amazon.co.jpで検索しても出てこなかったのですが...。

普段歌詞など意識しないで曲を聴いている私ですが、ケイコ・リーさんの歌うこの曲を聴いていたら不思議と"どんなことを歌ってるんだろう"と思い、歌詞を読みながら聴き直してみました。なんて素晴らしい世界なんだろう。素直にそう思いました。すべて漏らさず聴き取りたいとヘッドフォンまで出して夜中まで何度も聴いたのを覚えています。

I hear babies cry,
I watch them grow
They'll lean much more than I'll ever know
And I think to myself what a wonderful world

"Wonderful World"っていったいどの世界のことかと思ったら、"今私達が在る、この世界のこと"だったんですね。青い空、白い雲、それってすごくワンダフルなんです。そう思うと自然と心が晴れるというか、清清しい気持ちになります。空気を吸うだけで感謝したくなります。街ですれ違う人たちみんな尊敬するし愛することもできます。

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